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2024.5.4 07:00ゴー宣道場

24年目に台湾論の旅をしてきた(後編)

24年目に台湾論の旅をしてきた(後編)byケロ坊

 

[前編はこちら]

次の日は、やはり台湾は南側も見なければということで、『台湾論』の当時にはなかった2007年開業の台湾新幹線で高雄へ向かいました。
台北~新左営駅は約300kmで、東京~名古屋とほぼ同じですが、こちらの料金は1490元、円換算の5を掛けて7500円くらいなので、日本の新幹線より3000円くらい安いですね。
新左営駅の「新(Xin)」は表記によって付いたり付かなかったりするので、新横浜駅と横浜駅、新大阪駅と大阪駅は場所が違うと知っている日本人としては混乱します。

車両や座席は本当に新幹線そのままなので落ち着きます。

 

高雄駅は大規模に建設中でした。立派な駅にしようという意思を感じさせます。

 

しかし街中はローカル感があります。
『ねじ式』の「ちくしょう目医者ばかりではないか」のシーンそのままの目の看板を見かけて感動しました。
こういった昭和っぽい建物群と、超近代的な建物が混在しています。
それでいてみんなスマホを持っているというのが台湾の一般的な光景でした。
スクーターも高雄は台北よりさらに多いです。

 

高雄は昭和+南国感に溢れています。

 

見上げると傘に絵が描いてあってかわいい。

 

商店街もありました。乾燥キノコや豆とかをそのまま売っています。
そしてスクーターもバリバリ通ります笑

 

「鴨肉和」というお店で昼食。
食レポをすると、鴨肉ご飯は柔らかく、かかってるタレも美味しい。黄色いのは生姜です。
右の皿の肉は骨ごと切られてるので食べにくいですが、しっかりした塩味。
左上の小皿は醤油ではなく、甘しょっぱい味噌みたいな味の調味料です。
スープはキノコでダシとってそうな南国っぽい味。煮込まれて柔らかい骨付き肉の下に素麺が入ってました。
これで170元(約850円)です。

このお店の若い店員さんは日本語を少しわかってくれて、日本語で注文できました。
店を出る時に笑顔を見せてくれたのも、台北ではなかった日本っぽさを感じさせてくれました。

 

こちらは高雄駅の一つ隣で、MRTの二つの路線が交差する美麗島駅です(高雄駅と美麗島駅だけは日本語の車内アナウンスがありました)。
美麗島駅の名前は『台湾論』126ページ目にあるように、ポルトガル人が「Ilha Formosa!(イラ フォルモサ・麗しの島)」と呼んで、台湾が「フォルモサ島」とも呼ばれたことにちなんでいます。
台湾には「フォルモサ」という名前のホテルがいくつかあって気になっていたのですが、その由来も『台湾論』に描かれていて、また一つ謎が解けました。

ですが美麗島駅命名の直接のきっかけは79年の民主化運動への弾圧だそうで、その話は『台湾論』98ページ目の陳水扁の経歴の説明と関連してきます。

 

『台湾論』にはありませんが、日本統治時代の建物や遺跡が多く残っている「はません」も訪れました。
はませんは、当時の日本人が「浜線」と呼んでいたために、そのまま当て字で哈瑪星(ha-ma-seng)としたそうです。

 

ここは哈瑪星(はません)鉄道文化園区といい、線路跡がそのまま公園になっています。
凧揚げをしてる人もいて、山が見えるところや、そののどかさなど、日本かと錯覚してしまいます。

日本統治時代の線路をアートっぽく撮ってみました。

 

駅前の街の紹介パネルで、ひらがなで「はません」と書いてあったり、

 

西暦の隣に「明治41年」とわざわざ書いてあります。
さらに、山形屋、旧三和銀行、一二三亭といった「日本統治時代の建物はここにありますよ」と書いている地図もあり、テンションが上がります。
台湾の南側は、国民党軍とともにやって来た外省人がおそらく多く居着いた北側と違って、日本統治時代が強く否定されずにここまで来ているのかも?全く調べてはないですが、街の気配からそんなことを想像しました。

 

そのはませんエリアの中にある、日本なら絶対ありえない交差点に面したオープンテラス席の、地元のファーストフード店で晩ごはんです。

 

ハムと卵の入ったチヂミと、味の濃いお粥(たぶん鹹豆漿・シェントゥジャン)をいただきました。
お店の割り箸の袋に思いっきり「おてもと」と書いてあるのにも注目です。

 

以上で『台湾論』の現地レポートはおわります。

 

以下は小ネタです。

◯金門島は日程の都合上行けませんでしたが、名物の砲弾から作った包丁は、今では素材が必ずしも砲弾ではなくなってるようで、切れ味が良くないらしいです。
とりあえず金門島がいかに大陸に近いかを、スマホのマップなどで一度見てみて下さい。

◯『台湾論』で小林先生が戸惑われていた台南と奇美博物館に行けなかったのも心残りです。

◯名物土産のパインケーキは家楽福(カルフール)などのスーパーでも売ってますが、安いものはパイン感がそれだけ薄くなります。食べ比べたのでわかりました。
素直に空港で高いものを買った方がいいです。高いと言っても、せいぜい日本のよくあるお土産の価格帯と同じくらい(1箱2000円前後)なので。2000元分の購入で免税も受けられました。

ただパインケーキは品切れしてしまったため、急遽買ったタピオカミルクティーケーキ。ネタっぽいですがちゃんと美味しかったです。こういう出会いもいいですね。

◯台湾のエスカレーターは大阪のように右に立って左を空けるという暗黙のルールでした。
この片方を空けるのは、機械的にも運搬効率的にも良くないと聞いたことがあるので、ここは日本のマネはしないで欲しかったところです。

 

そしてものすごく出入り口が狭いエスカレーター(よく見かける)。

◯電車関連では、駅のホームに時刻表が見当たりません。なので時間が正確なのかどうかはわかりませんでしたが、MRTは遅延はしてなかったと思います。
台湾新幹線も開業以来の17年間重大な事故は起こしていません。
2021年に特急列車の事故はありましたが、これは工事車両が線路に落ちたためです。事故後の対応もごく真っ当で、車両を埋めて世界を驚愕させた中国とはやはり全く違いますね。

◯交通に関して言えば、日本では自動車は歩行者に道を譲ったり、すれ違う時もかなり距離を空けますが、台湾では「ぶつからなきゃオールOK」な勢いで、すぐ近くを通過していきます。
車とスクーターのおっさん同士が怒鳴り合ってる光景も見かけました。
これでは交通事故も多そうですが、台湾人カップルは彼女をスクーターの後ろに乗せて送り迎えしたりするのが基本だそうで、かなり怖いですね。

 

今回『台湾論』を読み返して思ったのが、『台湾論』は『戦争論』の応用編でもあるということです。
たとえば、今男系派をやってる自称保守やネトウヨは『戦争論』に影響を受けまくりましたが、彼らの脳に入ったのは左翼批判の部分のみで、テーマである個と公や、公私の区別、国民としての意識の大切さなどは全くわかっていませんでした。
だから連中は「小林よしのりは昔はよかった」的なことを言うわけです。

しかし『台湾論』53ページ目にはこのようにあります。

「国」というスケールまで意識を拡大できない“私民”だから、自民党は皇統問題で平然とめちゃくちゃなことをやっています。
しかしそもそも国家観、ナショナリズムのない保守なんかニセモノ以外の何物でもありません。

この「国民」の視点で台湾を見ると、5月からの新総統は、中国からの圧力に毅然としている民進党の頼清徳(ライ チントー)氏になったので、中国に擦り寄って香港のようになってしまうことはNOだという民意が示されました。
台湾国民は「自分たちの国をどうやって保ち守るのか」を明確に意識しています。
そして現場のさまざまなところから感じ取れる日本統治の歴史と文化。
台湾は細かいところではいろいろありつつも、一番大枠で、一番大事な国の独立に向けて頑張っているのがわかります。

では当の日本人はというと、独立なんかそっちのけな上に歴史の中で育まれた常識にも背を向ける二大国賊勢力、キャンセルカルチャーに血道をあげる左翼と、男系派という国家観皆無のニセ保守をはびこらせたままです。
それは台湾にも、台湾に尽くしたかつての日本人にも、申し訳ないことになってしまっています。

台湾を見て、日本のことを考えることが多かった旅でした。

 


 

 

のどかさと共に、空気感まで伝わってきそうな写真の数々に、いい旅行気分を味わうことが出来ました。
決して中国に飲み込まれることなく、いつまでも台湾は台湾のままでありつづけてほしいと願います。

そんなこと言う前に、いまは日本が日本であり続けられるのかどうか怪しいんじゃないのか、そっちの心配をしたらどうなんだと言われそうな気もしますが。

 

ゴー宣ジャーナリスト

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